テレビでの漫才披露今年初にして初優勝!
一夜にしてチャンスをつかんだ浪花のシンデレラボーイが誕生
2018年平成最後となった「M-1グランプリ」。例年以上に注目を集める中、平成生まれの霜降り明星が史上最年少王者となった。霜降り明星は2019年、破竹の勢いで大躍進。東京に進出し数多くのメディア露出をはじめ数々のチャンスを手にした。
そして今年、エントリー数はついに5,000組超えの5,040組。もちろん今年も4分間で「とにかく面白い漫才」を披露した漫才師が、新たにM-1王者の称号と、賞金1000万円を手にすることができる。
年々進化を遂げるお笑い界を象徴するかのように、今年の決勝には、和牛、ミキらM-1おなじみの芸人たちを押しのけたからし蓮根、ミルクボーイ、ぺこぱ、オズワルド、すゑひろがりず、ニューヨーク、インディアンスの7組が決勝に初進出。そして彼らの追随を許すまいと2年連続進出の見取り図、3年連続進出のかまいたちが優勝を虎視眈々と狙う。
司会の今田耕司は令和初となった今回の決勝メンバーを「1年を締めくくるのにふさわしい。新たな顔ぶれが多い」と評価。トロフィー返還のため登場した霜降り明星は、「今日まで休み全然なかった」「給料は10倍以上」と多忙だったこの1年を振り返ると、新王者誕生の瞬間を客席で見守る。
審査員は前回と同じくオール巨人、上沼恵美子、サンドウィッチマン・富澤たけし、立川志らく、ナイツ・塙宣之、中川家・礼二、松本人志の7名。巨人は「決勝進出者のコメントから熱い気持ちが伝わってきた。こちらも一生懸命審査しないと」、志らくは「命がけで一番面白い漫才を選びたいと思ってる」とコメントした。
敗者復活戦会場からの中継では、極寒のステージ上に16組が集結。今回から新たなルールとして、敗者復活枠はネタ順を決める「笑神籤(えみくじ)」で引かれたときに発表される。その笑神籤を引くのは、今秋日本中を沸かせたラグビーW杯日本代表の稲垣啓太、福岡堅樹、堀江翔太。“笑わない男”稲垣も「(漫才)めちゃくちゃ好きです」と期待を寄せる。
最初の笑神籤に書かれた名前はニューヨーク。トップバッターに臆することなく舞台を広く使った軽快な歌ネタを繰り広げた。2組目、ラストイヤーのかまいたちは“言い間違い”をテーマに、ボケ、ツッコミ、そして観客を1つにするハイテクニックなやりとりを展開。
点数は全員90点を越え、審査員たちを「圧巻でしたね」(松本)、「参りました」(志らく)、「腕上げたね、驚いた」(上沼)とうならせる。そして待ちに待った敗者復活組が3組目に決定。投票数約300万票の結果、まずは16位から5位を一気に発表。残ったアインシュタイン、ミキ、四千頭身、和牛の4組から選ばれたのは、和牛。「今年こそチャンピオンになりたいと思いまーす!」と笑顔で会場に向かった。
決勝では得意とする漫才コントをさらに進化させ、“上手くて当たり前”という観客のハードルをさらりと乗り越えるネタで爆笑の連続。かまいたちには及ばなかったものの暫定2位につける。
続いて、袴を着て扇子、鼓を手に登場したすゑひろがりず。言動は伝統芸能を模しながらもテーマは“合コン”。漫才の定番を逆手に取ったこれまでにないボケの数々を、上沼は「完成されすぎてM-1の漫才じゃない」、礼二は「単純に一番面白い。いろんな設定をこれでやってくれたら」と賞賛していた。5組目のからし蓮根は教習所をテーマにテンポよく漫才コントを披露すると、審査員から「ファンです」というコメントが続出。
2年連続決勝進出の見取り図は、互いの見た目をイジる絶妙な例え悪口の応酬で笑いを増幅させていく。こてこての大阪弁に昭和な見た目の浪花漫才・ミルクボーイは“おかんの好きな朝ごはん”をめぐって大論争。これまでにないほどの笑いを巻き起こし、なんとM-1史上最高得点の681点を叩き出し1位に躍り出た。
松本は「これぞ漫才っていうのを久しぶりに見せてもらった」と感心。塙は「100点に近い99点」と手放しで褒めていた。
8組目はオズワルド。畠中の素っ頓狂なボケと冷静にツッコむ伊藤の落ち着いたやりとりで観客を釘付けにするも、点数は及ばず6位に。この時点でミルクボーイの決勝進出が決定。続くインディアンスは真逆のハイテンション漫才。田渕が繰り出すマシンガンボケで勝負に出るも「平和すぎるかな」(塙)、「人間味も出していただけたら」(礼二)と一歩及ばず、かまいたちが決勝に進んだ。
最後は見た目ビジュアル系のツッコミ・松陰寺と見た目普通のボケ・シュウペイのコンビ・ぺこぱ。令和の時代にふさわしい“受け入れる”ツッコミで新たな時代の漫才を見せつけた。
この斬新な漫才に審査員は一様に首をひねり苦悶の表情。結果なんと3位の和牛を2点差でぺこぱが上回り決勝進出を決めるという大逆転劇となった。巨人と志らくは「最初好きになれないけど、どんどん好きになる」と完敗。松本は「これは“ノリツッコまないボケ”っていうのかな。新しいとこついてきた」と分析していた。
最終決戦は、ぺこぱの斬新な漫才、かまいたちの定石を踏んだ漫才、ミルクボーイの浪花漫才と、それぞれまったく違うパターンの三つ巴。「選びたくないですね、辛い」(志らく)、「過去一番レベルが高いんじゃないかと」(富澤)と審査員たちはまたも頭を悩ませる。
結果はなんとミルクボーイが7票中6票を獲得し、ぶっちぎりの優勝。「今年テレビで漫才をしたのが初」というまさかのシンデレラストーリーに会場中が感動に包まれた。しかし本人たちは「嘘ですこんなん」「夢夢夢」とまったく信じられない様子。
「全国の皆さんに知っていただいたのがうれしい」「おかんにも感謝です」と茫然としながら語った。巨人は「誰が優勝してもよかったと思う。最高の戦いやった」と3組を絶賛。松本も「過去最高っていってもいいかもしれない」と今大会のレベルの高さに圧倒された様子だった。
優勝会見に臨んだミルクボーイは「ほんとに信じられない」「実感がない」とまだ茫然とした様子。
“M-1史上最高得点”についても「そうなんですか」「意識せずにやったので」と目を丸くさせる。「感謝を伝えたい人」はもちろんネタにも出てきた駒場の母。「色々忘れてくれたおかげ。これからも忘れてくれたら」と顔をほころばせた。
「次なる仕事の意気込み」を聞かれると、「漫才をがんばってきたので漫才以外がボロボロ」と不安げな表情を見せるも、「漫才もがんばったようにほかも一からがんばります」「漫才ももっと面白くなるように続けていきたい」と意気込みを見せた。過去の経歴を聞かれると、M-1が開催されていなかったときには、内海が趣味のギャンブル、駒場が飲み会などに明け暮れネタも作っていなかったことを告白。しかし昨年、後輩の霜降り明星が優勝したことに触発され、「お笑いの仕事とバイト以外はすべてネタ合わせ」「ただただがんばりました」と声を張った。
気になる1000万円の使い途については、内海が「この2年角刈りにしてくれているお父さんがいるんですが、そこに僕専用の角刈り散髪台を設置させていただいて、角刈りにしたい方は無料にできたら。角刈りだけですよ」とコメント。駒場は「これまでお金がなくて世話になった後輩たちにお祝いも渡せなかった。ちゃんと恩返しできたら」と語った。
なお副賞として、Cygamesからドバイ旅行、サントリーからは、「-196℃ストロングゼロ1年分」、ファミリーマートより「ファミマプレミアムチキン(骨付き)1年分」、(日清食品は後日発表)が贈られる。
この模様は、12月22日(日)午後6:34~10:10 ABCテレビ・テレビ朝日系列全国ネットで生放送された。